より自然の中で育てた新鮮なウメを消費者へ
牛房ヶ平(旧越前町)の標高約400mで1.2haのウメ園を管理している斉藤ひとみさん。果樹園は従来、段々畑だったものを斉藤さんの父が埋め立て、ウメの栽培を始めました。斉藤さんは、仕事をしながらウメ園を手伝い、父が亡くなった後も引き継ぎウメの管理を行っています。現在では、紅映と平太夫の2品種で合計250本を管理しています。
1年間の管理は収穫後の9月に行う圃場の草刈りから始まります。「より自然の中でウメを作りたい」と斉藤さん。除草剤は一切使用せず、時間をかけて草刈りを行い出荷までに計4回行います。また、減農薬にこだわる斉藤さんは、殺虫剤も使用しません。その結果、ミツバチが集まり受粉する効果をもたらします。10月から12月までは木の剪定。働きながらの栽培のため、日によっては2、3本の木しか剪定できない時もあるといいます。そういった忙しい中でも剪定した枝を無駄にすることなく、枝を細かくし、自然の肥料として木に与えます。4月からは、鶏ふんを与え、黒星病を防ぐ防除を出荷までに3回行います。
斉藤さんは、果実の選別にも力を入れています。収穫は、果実を傷めないように1つ1つ丁寧に手摘みで行い、果実の先が少しでも茶色になっているものや1度地面に落ちたものは絶対出荷しないといった徹底ぶり。この徹底した栽培方法は、福井県特別栽培農産物として認証されていて、最盛期には日量で約100kgを収穫します。また出荷時期になると丹生膳野菜では問い合わせの電話が殺到するほどの人気商品となっています。出荷時期は6月20日頃から約1カ月間。今年も平年通りの出荷予定です。
専業農家になり越前町一の果樹園を
「他の果樹も栽培して数を増やしていきたい」と斉藤さん。現在は、ウメ以外にも栗や銀杏の栽培を行っており、試験的にリンゴ、ミカンなどを育て始めました。現在の仕事を定年した後は、専業農家になり、本格的に果樹園の管理をしたいと話します。また、斉藤さんのお子さんも小さい頃からウメに触れていて、成人してからも積極的に栽培の手伝いをしているといいます。これからも家族で協力して、越前町一の果樹園を作っていきたいと力強く話してくれました。