乾燥椎茸を主軸に規模拡大及び年間出荷へ
織田地区の山林に囲まれた上戸集落で50年近く椎茸栽培を行っている姉崎椎茸園の姉崎敏明さんご夫妻。姉崎さんは、父親が始めた椎茸栽培の後継者として学校を卒業した後に就農を開始し親子で栽培に取り組んでいました。一番多い時には、6万本の原木を管理し出荷をしていました。もともと、父の代には生椎茸での出荷がほとんどでJAに出荷をしていましたが、敏明さんの代になってから原木の本数も増え、生椎茸の出荷だけでは市場や売り先が飽和状態になる事から収穫物のほとんどを乾燥して出荷する乾燥椎茸に出荷方法をシフトしました。現在では、収穫量の9割程度が乾燥椎茸で出荷し、残り1割程度が膳野菜等の生椎茸での販売を行っています。
椎茸の栽培は、原木の調達から始まります。丹生郡には山の中腹あたりに椎茸の原木に適した「コナラ」や「クヌギ」が多く自生しており、姉崎さんは織田地区の知り合が所持する山林から原木を伐採し調達しています。その原木を約1メートル間隔に切り分けをして、3月から6月にかけてドリルで穴をあけ種駒の打ち込みを行います。その後、直射日光の当たらない風通しが良い場所に並べ1年半後の3月から収穫を開始します。収穫した物を生食用と乾燥用に選別を行い、乾燥椎茸は年間を通して膳野菜等で販売されます。
姉崎さんは原木の選択に特に注意します。現在、山にある原木は大木のものが多く、伐採と運搬に労力が必要となります。また、大木になると菌がまわる辺材の部分が少なくなり、生産量の歩留まりが悪くなります。その為、姉崎さんは、約30年間育った原木を選び使用する事で、椎茸栽培に一番適したサイズとなり菌のまわりが良く肉厚で味の良い椎茸が収穫出来るようになります。
原木栽培を続けるこだわり
「原木から地元産にこだわり、自然の中で育てたものだから美味しい」と姉崎さん。全国的に椎茸の原木栽培は生産量の5パーセント程度となっている現在。店頭に並ぶ殆どが菌床椎茸の中で、原木栽培にこだわる理由は、自然の中で自然のまま育ち収穫した美味しい椎茸を消費者に届けたいという姉崎さんの気持ちの表れとなっています。原木で育てた椎茸は、菌床に比べ身がしまっていて煮ても小さくならないと姉崎さんは感じます。生産農家が減る中、若い世代へ技術を伝承し後継者育成に努めていきたいと姉崎さんは話をしていました。