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越前「田んぼの天使」有機の会さん

2017.09.01 UPDATE

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EM菌を活用した有機栽培で、地球環境の改善を図る


宮崎地区の八田集落、江波集落を中心に水稲の有機栽培を行っている越前「田んぼの天使」有機の会。有機の会の会員は現在9名。その中で水稲の有機栽培を行っているのは現在3名。有機JASが2.8ヘクタール、特別栽培の認証区分①が2.7ヘクタールの栽培を行っています。
 会長の井上幸子さんは、味の素(株)会社に勤務していてアミノ酸や微生物の研究員をしていました。研究を重ねていく内に、微生物が環境の浄化作用に役立つ事を習得して水稲栽培に取り入れた事が有機栽培のきっかけ。平成4年に、県内の有機農業先進農家で栽培方法を習得し、農薬と化学肥料を使用せずに水稲栽培を開始。翌年に、生産者を11名に増やし有機水稲部を結成。有機栽培の知識向上を目的とした研修会、有機玄米の販売を主に活動。その後、平成13年にJAの生産部会「みやざき村有機の会」として発足。有機栽培をしている会員全員が有機JAS認証取得を開始しました。平成17年には、JA敷地内に事務所を設置し、越前「田んぼの天使」有機の会に改名し現在に至ります。
 有機の会で栽培されている有機米のポイントは、EM菌を使用している事。EM菌の中には、酵母菌や乳酸菌をはじめ有害な物質を分解する光合成細菌などの有用微生物が含まれ、このEM菌を水稲に使用する事で水田の土や水が浄化され、水田に関連する用水や川、そして海の水まで浄化する作用が有り、環境と生物に優しい栽培となります。有機米栽培は稲の刈取り後の10月から始まります。気温の高い間に次年度の元肥となるEMボカシ、貝化石、ミネラル分の補給にエコマグを散布し秋起こしをします。その後、水田に水を溜め冬場も湛水状態を保ち微生物の住処作りを実施。5月には表層を代掻きして1回目の除草。田植前に本代掻きをして2回目の除草を行い、5月中~下旬にかけて田植えを行います。田植え直後にEM糖蜜活性液を散布し雑草抑制に勤めます。田植えから5日後にチェーン除草を行い、6月中旬に中耕する事で土中の酸素供給と除草対策をします。7月から圃場に発生した雑草は全て手取り除草になり一番労力が必要とされる作業になります。9月中旬には黄金色の籾が実ります。
 「私の田んぼにはたくさんの生き物がいるよ」と井上さん。有機栽培を15年間続けている井上さんの水田では、水中にメダカ、夏になると蛍、秋には小型の赤とんぼハッチョウトンボがたくさん生息しています。その季節ごとに生き物観察会を開催し、地域の子供達に生き物と触れ合う場の提供を行っています。有機農業を長く続けているからこそ見れる景色だと思います。環境と生物に優しく、中山間の清らかな水で育てられた有機米は甘くてもちもちとした食感で食味が高いことが特徴。有機の会のみなさんが、愛情をたくさん注いで作られた有機米は9月10日頃から新米として膳野菜で販売される予定です。


先輩農家から経営を受け継いでの農業経営

 有機の会で、有機水稲部門を大きく担っているのが井上会長の息子さんの高宏さん。高宏さんは、鯖江市にある生産法人でオペレーターとして勤務し農業に精通した仕事をしていました。5年前に宮崎地区の先輩農家から農業経営を引き継ぐ事になり、越前町で若手農家として就農。就農1年目で約10ヘクタールの農地を経営し、現在では約15haの農地を経営しています。水稲の殆どを有機JASや特別栽培の認証区分①と③で栽培しており、付加価値の高い米として販売を行っています。販売金額は、通常の米より高いのが利点だが収量が平均して10アールあたり7俵半と少ないのが課題。収量を上げる為に、除草方法や除草時期について技術を高める必要があると高宏さんは考えます。高宏さんは現在32歳、若年層の農家の代表として将来の農業について日々考えています。これからは、有機の会を通じて、若い世代の人に農業の楽しさや大切さを伝えていきたいと話していました。

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