品種を分ける事で消費者に選ぶ喜びを提供
織田地区の脇谷集落で畑を2.2ヘクタール管理している織田ファミリー農園の菅原清輝さんと美智子さんご夫妻。脇谷集落は、昭和23年頃に雑木山を開墾し、畑を造成し1農家あたり約1.8ヘクタールの農地を所持し、お茶を始め大根など畑作が従来から盛んな地域となっています。
菅原さんは、16歳の頃から両親が栽培していたお茶の栽培を手伝いながら就農。静岡県のお茶農家のもとへ修業に行き、栽培に必要とされる土作りの方法や栽培管理など先進農家から技術を習得し、地元で良品質なお茶栽培を開始。しかし、昭和56年の大雪の影響でお茶の木が折れ集落内の栽培農家が減り、平成2年頃にお茶に代わる園芸作物を模索していた時に県の普及指導員からイチゴとトウモロコシを提案されイチゴを100平方メートル、トウモロコシを1000平方メートル栽培を開始。はじめてイチゴを栽培し実ったイチゴを見た菅原さんは、「こんな大粒のイチゴが獲れるんだ」と感動を覚えたようです。菅原さんは、このイチゴを市場出荷用では無く観光農園を目的として栽培する事を決断。観光農園は、人気が広がり過去最高でシーズン中に1万5千人の集客がありました。イチゴ栽培を20年間続け平成22年からイチゴからトウモロコシへ品目をシフト。トウモロコシは観光農園で集客を図る事ができ、収穫後の茎や葉を鋤きこむ事で土作りも行えます。後作にサツマイモを栽培する事で年間を通した観光農園体系を確立しました。しかし、年々イノシシやアライグマの被害が増え、獣害対策に大きな労力が割かれるようになった為、トウモロコシから現在の枝豆とサツマイモ中心の栽培体系に転換。
菅原さんの栽培の特徴は、作物毎の品種を多く作る事と作型を多く分ける事。菅原さんは枝豆だけで3品種、サツマイモは5品種栽培をしています。菅原さんは、「品種を分ける事で消費者に選ぶ喜びが生まれる」と話す。1品種だけ栽培すれば、農家自身の栽培に係る管理が容易になり、売り場に大量出荷が出来るがお客さんそれぞれに『好み』があります。その1人ずつの好みに応える事が、生産者が消費者に出来る最大のサービスと菅原さんは考えます。また、菅原さんは、5月初旬から3品種の枝豆を10段階に分けて播種する事で、長期間売り場に出荷が出来ます。土作りにこだわっている菅原さんの枝豆は7月13日から、とサツマイモは8月10日頃から膳野菜の売り場を賑わせます。
朝獲りが直売所の最大の強み
「野菜を膳野菜に出荷する時は朝穫りしかしない」と菅原さん。若い頃から農業に携わってきた菅原さんは市場出荷や消費者への直接販売、直売所出荷と色んな消費者や売り場を見てきました。その中で、市場に出荷した野菜がスーパーに並ぶのを見て、獲れたての新鮮野菜を消費者に届けられるのが膳野菜の最大の強みと考えます。その為に、早朝より収穫し膳野菜がオープンするまでに選別して出荷。前日穫りは絶対に行わないのが菅原さんのこだわりです。膳野菜に出荷する枝豆やサツマイモには『朝穫り』と明記したシールを貼り消費者へ新鮮さを伝えて行きます。菅原さんは、「出荷も一工夫するだけで売れ方が変わる」と話す。
市場は出荷規格を厳しく求められるが、直売所は生産者が荷姿を自由に決めて販売できるのが特徴。菅原さんの枝豆も、袋詰めと枝付きとパターンを変えて出荷をしています。これからも菅原さんは、『生産者が出来るサービス』を追及しながら栽培を続けていきます。