栽培時間あたりの収益性を観点に品目を選定
清水地区甑谷町で3ヘクタールの水田を利用し水田園芸に取り組んでいる河村雅人さん。河村さんは、3ヘクタールの水田でJAが推進している園芸品目の越前レタスを始め、スイートコーンや秋に収穫するキャベツ、カリフラワーと多品目にわたり栽培をおこなっています。特に、水田をフルに活用し収益性を高める事を目的に圃場を2回転させ、春レタス後に秋レタス、スイートコーン後にキャベツ等、年間を通して圃場を遊ばせる事なく栽培体系を組んでいるのが特徴。
河村さん現在38歳で農業に携わるようになったのはちょうど10年前。同集落の酒造会社に勤務していた時に、酒の材料となる酒米の生産を開始する事になり、河村さんは父が作っていた田んぼを利用し父と一緒に五百万石という酒米を栽培。近隣集落の担い手のもとで手伝いをしながら、栽培にかかるノウハウや基本的な知識習得を行いました。酒米の栽培を5年間続けている内に、自分がいつも食べている物を自ら作りたいと思うようになり、県普及員とJA営農指導員に相談をして4年前から就農しました。1年目には、ピーマンとブロッコリー、2年目には品目にスイートコーンを追加し3年目にはレタス、キャベツ、スイートコーンと様々な品目を取り入れながら現在の栽培体系を確立しました。河村さんは「試験的に色んな品目を取りれ、収益性と粘土質土壌に合うものを選んでいる」と話します。河村さんは、単純に1作あたりの収益を見るだけでなく、栽培にかかった時間あたりの収益性を重要視しています。ピーマンなど圃場での栽培期間が長いものから、レタスやキャベツなど短い期間で栽培出来る品目にシフトする事で、より収益性が高まり多品目の栽培が行えます。河村さんのこだわりの観点で品目を選定する事で、圃場をフル活用し最大限の所得が確保出来ます。今後は、更に品目を試験的に導入し、「サラリーマンの勤務時間で出来る農業体系を確立していきたい」と目標を話していました。
人の確保が最大の課題
「レタスやスイートコーンの収穫は全て手作業で機械化が出来ない」と河村さん。通常、河村さんは日常の管理は父と2人体制で行っています。しかし、レタスやスイートコーン、キャベツは収穫適期の期間が非常に短く収穫遅れになると商品価値が低下するため、収穫期だけは、地区内の農家を雇用し手伝いをしてもらっています。現在、春レタスの収穫時期は5月上旬で水稲作業の時期と重なり作業を地区内の農家へ依頼が困難なことが、春レタスの栽培面積の増大に向けての課題。今後は、解決に向けて収穫の時間帯が違う作物の試験栽培や各品目ごとの栽培面積の見直しを行っていきたいと話していました。