両親から受け継ぎ、しいたけ農家への挑戦
朝日地区の中山間に位置する自然豊かな大谷寺地区で原木しいたけを栽培している佐々木さん。もともと眼鏡会社に勤務していた佐々木さんは、7年前に景気が低迷し会社を退職して農業を開始しました。30年前、糸生地区ではしいたけ栽培が盛んで、多くの農家が栽培し市場出荷を行っていました。しかし、近年では高齢化が進み各家庭で消費するぐらいの生産量に減少しました。佐々木さんは、両親が家でしいたけ栽培をしていた事で、栽培に必要な運搬車や乾燥しいたけに使う乾燥機などの機械が残っていたので、しいたけ栽培に取り組むことを決意しました。織田地区でしいたけ栽培を長年続けている姉崎さんのとこで3年間勉強し4年目から自分で栽培を始めています。
しいたけの栽培は、菌をうちこむ為の原木の確保から始まります。原木に使用する木は『コナラ』というどんぐりの木を使う為、知り合いに頼んで木を伐採し原木を調達します。約1メートルに切り分けられた原木を山から降ろし搬送するのが一番の重労働となります。その原木に2月から6月にかけて、コマと呼ばれる菌が付着しているおがくずを打ち込んでいきます。菌の入った原木は、山際の陰になるところに並べて7月から8月の期間保温されます。保温される事で原木の中に菌が十分にまわり、涼しい場所に2年間並べて管理する事で、しいたけが本格的に収穫出来るようになります。
佐々木さんは、「手間をかけた分だけいい品物がとれる」と話す。しいたけの栽培で一番注意をする事は菌を殺さない事。特に、原木を保温する8月は高温になりやすく、高温の影響でコマに付着している菌が死滅する事があります。その為、原木を保温する場所にこだわり、山陰の直射日光があまりあたらず涼しい場所で管理する事に特に注意をしています。佐々木さんのこだわりの生しいたけは10月後半から4月末にかけて膳野菜に出荷されます。
福井県ブランド『香福茸』への挑戦!
「これが新聞で話題になっている香福茸(こうふくだけ)だよ」と佐々木さん。見せてくれたしいたけは他のしいたけに比べ大きさが2倍以上の大きいサイズのものでした。佐々木さんは、県のしいたけ生産者で組織する生産者協議会に加入し県の推進の元、香福茸の栽培に挑戦しています。香福茸は、原木に使う菌は『115』という大きくなりやすい品種を使用します。規格は、肉厚3センチ以上で傘幅8センチ以上、巻き込みが1センチ以上の厳しい基準を超えた物だけが香福茸となります。冬から春にかけてハウス内でじっくり生育させる事で香福茸が育つようです。香福茸は武生青果で高級料亭などへ出荷されており、1個1000円で販売されています。佐々木さんは「香福茸は価格は高いが大量に生産出来るものでは無い。香福茸を通じて福井県産しいたけの底上げをする事が最大の目標」と話していました。